



推拿は鍼や薬、医療器具を使わず、疾病を治療・予防する手技療法です。
中医学的な四診法(望診・聞診・問診・切診)により証(診断)をたて、患部(皮肉筋骨)をつかさどる五臓六腑の関連経絡を選択し、経穴に刺激を与えて痛みや緊張を取り除きます。
他の整体法に比べ多くの手技があることや、独特な柔らかい手技、またその組み合わせにより体質や症状に合わせた治療が出来ることも特徴です。 またマッサージのように軟部組織に用いるものと、カイロプラクティックのように関節部に用いるものとの両面を兼ね備えており、様々な手技療法の長所を合わせ持っています。
![]()
東洋医学セミナーの様子
標とは疾病の現象であり、本とは疾病の本質です。
疾病の本質(病因)を治す原因療法を本治法といい、疾病の現象(症状)を治す対症療法を標治法といいます。
治療の根本原理は疾病の本質に対して治療を行なうことが重要ですが、病状の標本緩急の見極めに注意しなければなりません。それにより、病が急性ならばその局所症状に対し標治法を行い、病が慢性ならば病の本に対し本治法を施します。ときには標本を同時に治療することもあります。
推拿療法では体表からの刺激を通じ、局所及び全身の生体機能を調整し、急性症状あるいは、慢性的な病因を除去します。
![]()
人体における陰陽のバランスが失調すると、偏盛や偏衰が生じ疾病が発生します。
その偏盛 ・偏衰に基づき、「有余」なるときは瀉法により取り除き、「不足」なるときは補法を用いて補う。これが治療の根本原則です。推拿療法では20種類以上の手技方法を組み合わせることによって陰陽の相対的なバランスの回復をはかります。
![]()
推拿整体実技の様子
補虚とは正気を補うことであり、気血津液の不足、臓器の機能衰退など人体の正気が不足している場合に用いられ、
瀉実とは邪気を除去することであり、人体に邪気が存在している場合に用いられる治療原則です。
推拿療法では十四経絡や、その経絡上の主要な経穴を効率よく刺激し、気血津液を疎通させます。
気血津液が滞りなく流れることにより、五臓六腑が本来の働きになり身体を内臓から健康にし、邪気にも負けない力(免疫力)をつけます。
![]()
臨床実技の様子(推拿整体上級コース)
中医学では西洋医学よりも自覚症状に重点をおき、四診(望診・聞診・問診・切診)で得られた情報をもとに証(表裏・虚実・寒熱・陰陽)を定めます。
治療は証を決めることから始め、証がわからないと具体的な治療をすることはできません。
証に基づき治療方針を決め、実際の治療を行います。
同じ疾病であっても証が異なると異なる治療方針をとり、逆に異なる疾病であっても証が同じであれば同じ治療方針が立てられます。

中医学では個体差を非常に重視しており、疾病自身をみるだけでなく、患者の年齢や性別、体質、生活習慣、社会環境、心理状態などを考慮して治療を行います。また四季の変化や地域に応じて発生しやすい疾病の種類や特徴もあるため、治療を行う際にはこれらのことも考慮し適切に対処する必要があります。
![]()
WHO(世界保健機構)による鍼灸・推拿適応症
| 分類 | 疾患名 |
|---|---|
| 運動器系疾患 | 関節炎、リウマチ、頚肩腕症候群、五十肩、腱鞘炎、腰痛、外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫) |
| 神経系疾患 | 神経痛、神経麻痺、痙攣、脳卒中後遺症、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠、神経症、ノイローゼ、ヒステリー |
| 消化器系疾患 | 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘) 、胆嚢炎、肝機能障害、肝炎、胃十二指腸潰瘍、痔疾 |
| 呼吸器系疾患 | 気管支炎、喘息、風邪および予防 |
| 循環器系疾患 | 心臓神経症、動脈硬化症、高血圧低血圧症、動悸、息切れ |
| 代謝内分泌系疾患 | バセドウ氏病、糖尿病、痛風、脚気、貧血 |
| 生殖・泌尿器系疾患 | 膀胱炎、尿道炎、性機能障害、尿閉、腎炎、前立腺肥大、陰萎 |
| 婦人科系疾患 | 更年期障害、乳腺炎、白帯下、生理痛、月経不順、冷え性、血の道、不妊 |
| 小児科系疾患 | 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)、小児喘息、アレルギー性湿疹、耳下腺炎、夜尿症、虚弱体質の改善 |
| 眼科系疾患 | 眼精疲労、仮性近視、結膜炎、疲れ目、かすみ目、ものもらい |
| 耳鼻咽喉科系疾患 | 中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、蓄膿(ちくのう)、咽喉頭炎、扁桃炎(へんとう炎) |

